近年上演された本公演以外の作品を取り上げ、出演者達の見えざる苦労や工夫、こだわりのポイントなどに着目。専科の“マイスター”と、当時その作品に出演していたゲストとで作品の楽しみ方をより深く伝授するトーク番組。第17回は2023年に上演された月組『月の燈影』をご紹介。江戸に住む人々の人間模様をあざやかに、色濃く切なく描いた名作で、2002年の花組初演からひさしぶりの再演、月組生の熱演で新たな見ごたえを持った令和版、大野拓史の宝塚オリジナル作品です。そして今回のマイスターは、初演共に淀辰役で出演した夏美よう。繊細な感性と確かな見識、深い洞察力で独自の解析を導き出し、常にゲストの心と成長ぶりにあたたかく寄り添います。ゲストは主人公・孝蔵の幼馴染、火消しの次郎吉をあざやかに息づかせた、彩海せらです。紫陽花の季節、作品に没頭した思い出を共有するふたりは、きたんないトークをまっすぐに展開。「マイスターズチェック」のコーナーでは、実際に映像を見ながら“匂いたつような江戸の情緒”について語ります。また、次郎吉を演じるにあたり、男役としてのスタンスを考え改めながら役創りに向き合ったこと、主演の礼華はるや喜の字役の天紫珠李とのエピソードなども語ります。番組の後半、夏美への質問コーナーでは、意外な質問からの意外な回答が印象的です。今はもう懐かしく感じられる作品を、当時の出演者に想いを馳せながら、新鮮な発見や納得を持って味わい直せる30分―。彩海の舞台人としての持ち味を十分に理解し、確かな成長を見守った夏美によるツッコミ冴えわたる信頼感、堅実な考えと落ち着いた行動による真面目さを持ちながら、どこか次郎吉を思い起させるような彩海との明るいやり取りは、ナチュラルで必見です。他の出演者にも着目しながら、改めて作品を見直したくなるトークを、どうぞお楽しみください。

主な出演者夏美よう、彩海せら