中欧の大公国を舞台に、貿易商と自称する野心的な男と大公妃の哀しい恋を中心に、滅びに向かって進む悲劇的な王族の姿をドラマチックに描く。作・演出は大田哲則。'91年星組・宝塚大劇場。日向薫、毬藻えり、紫苑ゆう　他。19世紀末、欧州中を吹き荒れた共和主義の嵐が中央ヨーロッパの沢山の王国にも及び、王政の土台が揺らぎ始めていた。ヴュルテンベルグ大公国は、中でも大きな勢力を誇っていたが、大公夫妻には嫡子がなく、全てにおいて絶対的な大公から逃れるかのように大公妃ゾフィ（毬藻）は、年中旅に明け暮れていたので夫妻の不仲が噂されていた。ゾフィは古い家柄の出身で、数々の王や妃を輩出していたが、長年に亘る近親婚の結果、精神的に不安定になる傾向が顕著だった。ゾフィの従兄弟で、隣国の皇太子クリストフ（紫苑）も夢想的な傾向が強く、芸術に傾倒していた。そしてゾフィに憧れるあまり、彼女の妹カロリーネ（白城あやか）を婚約者として、代わりに側に置こうとした。大公の甥のヴィクトール公爵（麻路）も有力な皇太子候補でありながら共和制を夢見ていた。あるサロンでゾフィは、「欧州を駆ける貿易商」と名乗るフリードリッヒ（日向）と出会う…。

主な出演者日向薫、毬藻えり、紫苑ゆう 他