「マノン・レスコー」は、A.プレヴォの小説に基づき、何度も台本を書きかえられた上でようやく完成した、プッチーニの出世作。尼院に行く途中に、兄の近衛軍曹レスコーに連れられてアミアンに立ち寄ったマノンの美しさにひかれた騎士デグリューは、彼女に食指を動かす好色な貴族ジェロントの用意した馬車を利用してマノンとパリに駆け落ちする。貧しい生活に耐えかねたマノンは、ジェロントの愛妾となるが、貧しくとも楽しかったデグリューとの生活が忘れられず、再び彼と逃げ出そうとするところを捕らえられ、島流しとなる。マノンは、彼女と運命を共にするために島流しの船に同乗して、アメリカまでやってきたデグリューの腕の中で、彼に対する愛が永遠であることを語り息絶える。このロイヤル・オペラのプロダクションでは、二人の偉大な歌手、テ・カナワとドミンゴがそれぞれの役柄に相応しい美声と素晴らしい表現力で観客を魅了する。そして強靱なキャスト陣を率いるのは、昨年惜しくも亡くなった指揮者シノーポリ。当時まだ“若きイタリア人指揮者”であった彼は、この舞台でイギリスでのオペラデビューを果たし、各誌で絶賛を浴びた。フリードリッヒの見事な演出とエレガントな衣装も見もの。

主な出演者プラシド・ドミンゴ、キリ・テ・カナワ、トーマス・アレン