オーストリア=ハンガリー帝国のルドルフ皇太子は、1889年1月30日の未明、ウィーン近郊のマイヤーリンクの館で、17才の愛人マリー・ヴェンツェラを射殺した後、自らもピストル自殺した。「マイヤーリンク（うたかたの恋）」は、ルドルフの結婚から心中にいたる８年間の苦悩に満ちた人生を描いた、プロローグ・エピローグ付　全３幕１１場からなる超大作悲劇バレエ。小説家ジリアン・フリーマンの台本は、心理的複雑さをもつこの悲劇的事件の真相に迫り、振付家ケネス・マクミランは、19世紀末の宮廷の複雑な政治的背景と頽廃的な環境に生きたルドルフの屈折した心情を見事に表現し、ドラマチックなバレエに仕立て上げた。ダンスとマイムを駆使したマクミランの綿密な振付を、ムハメドフ、デュランテ、コリアがロイヤル・バレエのドラマティックな伝統的表現を生かして鮮やかに踊っている。

主な出演者イレク・ムハメドフ、ヴィヴィアナ・デュランテ、レスリー・コリア