星組「王家に捧ぐ歌」、宙組「炎に口づけを」の原作オペラの作曲家ヴェルディの傑作「椿姫」は、現在、世界中で最も愛されているオペラ作品の一つ。1850年頃のパリ社交界を舞台にした、純粋な青年アルフレードと社交界の華ヴィオレッタの真実の愛の物語で、「乾杯の歌」や「ああそはかの人か」など、宝塚ファンにはおなじみのアリアや場面にも注目。それまでは貴族のものだったオペラを市民のために、と1792年にヴェネチアに設立されたフェニーチェ劇場は、「椿姫」の初演が行われた劇場だが、そのゆかりの劇場に、コロラトゥーラの女王、グルベローヴァを招いて上演された92年のプロダクションは、グルベローヴァの技巧と、アルフレード役のシコフ、ジェルモン役のザンカナーロら、強力な競演者の演技が輝く名演。建物正面にフェニーチェ＝不死鳥が飾られていることでその名がついたこの劇場は、開場以来、何度か火事にあっては文字通り不死鳥のように再建されているが、96年にも火事に見舞われたため、本公演は、火事以前の劇場の様子を垣間見れる点でも貴重な作品。

主な出演者作曲家：ヴェルディ、出演者：グルベローヴァ、シコフ 他