原作は、近松門左衛門の世話物の代表作のひとつである「冥途の飛脚」。飛脚問屋忠兵衛と遊女梅川の悲恋を描き、浄瑠璃だけでなく歌舞伎など、様々な形で舞台化されている作品。宝塚歌劇では'79年、'82年に瀬戸内美八主演で、'89年には剣幸主演で上演されている名作。今作は、'98年に汐風幸主演にて再演されたもの。脚本・演出は菅沼潤。演出は谷正純。'98年雪組・宝塚バウホール。汐風幸、貴咲美里 他。大坂の飛脚問屋の主人忠兵衛（汐風）は、遊女・梅川（貴咲）と馴染みとなって、稼業を顧みない。梅川に身請けの話が進み忠兵衛は気が気でない。忠兵衛に見受けされないのなら死んでしまいたいと泣く梅川を抱きしめ、女房はこの世でお前ただ一人だと忠兵衛は愛しさを募らせるが、養子の身分ではどうしようもなかった。忠兵衛は客から預った為替金三百両を手に、堂島の侍屋敷に向かうが、梅川の身請け金も同じ三百両だと思うと、商人としての誇りも、梅川への恋しさの前にはどこかへ消えうせてしまう。しかし、封印の入った小判は他人のもの、封印を切れば命は終わりだった…。

主な出演者汐風幸、貴咲美里　他