53年東宝／出演：浅茅しのぶ（1938〜54年在団）、八千草薫（1947〜57年在団）、寿美花代（1948〜63年在団）。今江戸一の美男と噂の猿若座の猿若珊三郎は、吉田御殿の奥深くへ案内され、人形かと見まちがうばかりの臈たけた女性・千姫に会う。酒席の相手をしている珊三郎は、姫との恋のためなら命もいらぬと言うが、千姫の心を得られず空しく退下した。その帰途、珊三郎は何者かに殺害されてしまう。珊三郎の恋人・お滝が死体に取りすがっていると、千姫の腰元・お小夜が近より、下手人が千姫であることを告げる。ある秋の日、紅葉見物の宴の席で、千姫の心は遠い昔のことを思い出していた。そこへ突然数人の浪人たちが現れる。家康との約束で大坂城の砲火の中から千姫を救い出し、妻にしようとしたが叶わず切腹してお家断絶となった坂崎出羽守の家臣たちであった。追いつめられた千姫を救い出したのが、岡崎にいたころの幼馴染みの左馬之介（山形勲）であった。

主な出演者浅茅しのぶ、寿美花代、八千草薫