2007年に93歳になる、宝塚歌劇団の名誉理事「渡辺武雄」―。数多くのショー作品を振付、なかでも、日本各地の民俗芸能を緻密に徹底取材して創り上げた民俗舞踊ショーの作・演出は、渡辺の偉業である。と同時に、宝塚歌劇の様々な歴史、発展を目のあたりにしてきた人物でもある。その業績と貴重なエピソードを軸に、演出家の木村信司と語り合う、対談番組。主なテーマは、昭和27年のアメリカ留学や昭和34年のカナダ・アメリカ公演。昭和33年の「郷土芸能研究会」の発足と「民俗舞踊シリーズ」の代表作についてなど。当時の貴重な現地取材映像や舞台映像、創作に隠された様々な秘蔵エピソードは、どれも見逃せない。そして何より、今後、宝塚歌劇が目ざすべき大衆演劇としての方向性、民俗芸能が持ち得るであろう海外に目を向けた可能性、それらをベースに新たな舞台創作を提言する渡辺の、宝塚を愛し、後世へ未来へ託す夢と想いが心に響く番組である。

主な出演者渡辺武雄、木村信司