50年東宝／出演：月丘夢路（1937〜43年在団）。自由奔放な踊り子が、転がり込んだ先の独身者専用のアパートで巻き起こす恋愛騒動。原作は佐々木邦「アパートの哲学者」。阿部マリコは、明朗闊達、屈託のない典型的戦後派娘である。今日も今日とて、女学校時代の級友・田中新子の部屋に同居の目的で上京、途中バス停で捨てた吸殻を五十歳くらいの紳士に注意され一悶着を起こす。アパートに着いたマリコは、新子がその夜、結婚のため引っ越すところだったので、後を貸してくれるよう管理人に交渉してくれと頼んだ。このアパートの持主の相馬忠之丞は、若い頃に恋人を亡くしてから独身を通し、アパートの家主兼管理人として、みずから入室希望の独身者の人物試験をし、入居後はよき相談相手として先生と呼ばれている変わり種である。ところがマリコは、先刻のバス停での喧嘩相手がその相馬先生であることを知り、試験には受からないと思い、断然居座りを決め込む。

主な出演者月丘夢路