1820年頃のスペイン・セヴィリア。タバコ工場で働く女工カルメンは、その挑発的な態度や赤裸々なセクシャリティで竜騎兵伍長ドン・ホセの恋の情熱をもえあがらせる。ホセは、純朴な恋人ミカエラや年老いた母を裏切り、軍隊をやめてタバコの密輸にまで加担したが、新しい恋人、闘牛士のエスカミリオに心移りしたカルメンに捨てられてしまう。「お前のために何でもする」と哀願するホセを振り切り、自らの愛を貫こうとしたカルメンは、嫉妬に狂ったホセに刺され、命を落とす。「激情」（99年宙組）の原作であるオペラ「カルメン」は、初演当初は反道徳的と批判されたが、セリフ部分をレチタチーヴォ（叙述的な独唱）に改めてからは「フランスオペラの記念碑的作品」として高い評価を受け、そのドラマチックな物語展開と「ハバネラ」や「闘牛士の歌」など数々の魅力的なメロディーにより、オペラファンならずとも馴染み深い作品となった。今回お送りするのは、ロンドンの大催物場「アールズコート」で行われたもので、出演者が8000人に及び、舞台上に馬が登場するスペクタクルな作品。カルメン歌手として絶大な人気を誇るマリア・ユーイングの迫力ある演技と妖艶な歌も魅力。

主な出演者マリア・ユーイング、ミリアム・ガウチ、ジャック・トラッセル　他