藤原一族の権力争いに巻き込まれ、平城京を追われた悲運の皇子を描いた歴史ロマン。作・演出は谷正純。'92年月組・宝塚バウホール。天海祐希、山吹紗世　他。和銅六年（713年）、文武天皇の皇子、清人（天海）は、異母弟である首皇子を皇太子に冊立しようと計る藤原不比等（麻月鞠緒）との抗争を避けるために、首皇子に皇位継承権を委ね、自らは遣唐使として唐の国に出発しようと考えていた。聡明な清人皇子は権力で民を従わせるのではなく、日本に普及し始めた仏教の教えで人々を導きたいと思い、その為の遣唐使志願であった。豊人皇子（彩輝直）も兄と同じ様に生きたいと、同道する。しかし、不比等は、清人皇子の母の嬪の号を剥奪し、皇子の皇位継承権をも奪う。更に、藤原高名（真織由季）を皇子暗殺の刺客として放つ。遣唐使船は出発するが嵐の船上での高名との死闘で、豊人皇子は絶命、清人皇子と高名は戦ううちに嵐の海へ消える。二人は五島列島の離れ小島に流れ着く。そこには、唐朝の内乱から逃れ嵐に流された唐の人々が桃源郷を築いていた。初めて見る世界に二人は戦いを忘れ、清人皇子は初恋の女性・安宿媛の面影を宿す芙蓉姫（山吹）と恋に落ちる。しかし、不比等の魔手はこの桃源郷にも及んだ…。

主な出演者天海祐希、山吹紗世 他