1990年代頃の宝塚バウホール公演の名作を、貴重な映像のダイジェストと、新収録の朗読でご紹介する番組。今回は、轟悠主演のバウ・マジカル・ミステリー『恋人たちの神話』（1992年雪組、石田昌也 作・演出）です。舞台は、現代、世紀末の日本。主人公は、臨死体験によってサラリーマンから超能力者となった、九十九神之助。テレビ局のスタジオで、霊能スペシャルの特別番組を撮影中、出演した女霊能者のいかさまを見事に暴き、スタジオはもちろん、日本全国を騒然とさせた青年が、新興宗教“宇宙教”の教祖として、話題沸騰の存在となる…。とは言って元は、広告代理店に勤めるしがないサラリーマンで、ガールフレンドのマリコ（毬丘智美）と慎ましい幸せも感じていた。教祖に祭り上げられたことでマリコが去り、地位や富を手にしても、心は晴れない神之助と、悪徳宗教団体“大善会”の教祖（泉つかさ）、女霊媒師の赤石琴乃（京三紗）、超心理学の権威である門松教授（岸香織）を始め、クセのある人物たちがさまざまにからみ、予想できない展開を繰り広げていきます。目に見えない幸せ、真実の幸せを問いかけるこの作品。宗教という扱いづらいテーマを実験的に、社会風刺的に描いた異色作、そして、2枚目と3枚目を演じ分けてのユニークな轟の熱演を、どうぞお楽しみに。（2013年10月初回放送）

主な出演者ナビゲーター：月央和沙