昭和初期の流行作家、三上於菟吉原作の、何度も映画化、舞台化されている名作を、80周年を記念して初めて上演、ミュージカルの手法で展開する宝塚版。脚本・演出は柴田侑宏、演出には歌舞伎界から七代目尾上菊五郎氏も参加、'94年雪組・宝塚大劇場、一路真輝、花總まり、高嶺ふぶき　他、花形役者、雪之丞（一路）は、幼い頃に孤児となり、旅回りの一座に引き取られ修行に励み、稀代の女形と言われるまでに成長した、長崎で有名な海産物問屋であった彼の家は、当時の長崎奉行土部たちに罪を被せられ、母は自害、父は狂死したのだった、仇討ちの機会を待つ雪之丞に、その時が訪れる、今は江戸城の重臣となった土部の娘で将軍の側室となっている浪路（花總）が、雪之丞に魅了され、宴席に招かれる、浪路を利用して復讐を果たそうとするが、彼女の純粋さに心が揺れる…。／サジタリウス（射手座）の明るいイメージをベースに、様々な星をめぐる趣向のショー、'94年雪組・宝塚大劇場。作・演出は中村暁、一路真輝、花總まり、高嶺ふぶき 他、一路、高嶺、そして轟悠がそれぞれのパートを受け持つ形の三部構成となっており、星々が誕生する華やかなプロローグのあとは、高嶺と星奈優里中心の「未来の星」、一路がとらわれの少女・花總を救おうとする「情熱の星」と続く、古代遺跡のような「自由の星」で王になっていた轟は、やがて一路と高嶺に迎えに来られるが、そこでの三人のやりとりが笑いを誘う、フィナーレの白眉は大階段に一人立つ一路がよく伸びる声で歌う「星の夜に」、また、娘役トップ・花總まりの存在感の大きさは特筆もので、「情熱の星」で多くの男役に囲まれての激しいダンスシーンは見どころの一つ、さらに、香寿たつきが歌とダンスで随所に登場する。

主な出演者一路真輝、花總まり、高嶺ふぶき　他