57年東宝／扇千景（1954-57年在団）出演。島倉千代子のヒットソングをモチーフとした歌謡メロドラマ。父母を助けて仕事熱心な茶摘娘の淡い恋を、甘く切なく描いていく。緑の茶畑が豊かな香りを放つのどかな農村をオート三輪車が走って行く。助手台には新茶の見本を町に届けようとする千代（島倉）が乗り込んで、仕事を終えたら映画でも見ようと心を弾ませている。程なく町に到着して、千代は茶問屋の井上商店を訪ねた。先代から引き続いて取引し、すっかり懇意になっていた井上家の人々は、何かと千代をねぎらったが、中でも娘の道子（扇）は、折よく居合わせた従兄弟の商船大学生・秀雄とともに、千代を散歩に誘った。目抜き通りに出ると、道子は他に用があるからと、秀雄と千代に映画を見るようにすすめた。二人は映画を見て、喫茶店でお茶を飲み、夕方までの時間を費やしたが、別れるころに千代の心の中には、秀雄に寄せる仄かな思慕の情が広がっていた…。

主な出演者島倉千代子、扇千景