源氏鶏太原作。夢多き多感な高校生の清純な初恋を、詩情豊かに謳いあげた作品。'57年東宝／出演：新珠三千代（1945〜55年在団）。暑い夏のある日、十七歳の少年昇平（林剛彦）は、海に泳ぎにいった帰りに、まだ日暮れ時には間のある静まりかえった小粋な家の建ち並ぶ花街を通りかかった。「鴎屋」の女に呼び止められ、やむなくその家に上がり込んでしまった昇平は、初めて大人扱いされた優越感と好奇心で一杯だったが、だんだん不安と心細さが加わってきた。まもなく柔らかな感触にハッとして眼を開けると、目の前に美しい島田髷の女が微笑んでいる。いつのまにか眠ってしまった昇平は、女の膝を枕にしていたのであった。女は芸者の雪千代（新珠三千代）であった。吃驚して起きあがった昇平は、虚勢を張って一気にコップのビールを飲み出した。その様子を微笑ましげに眺めていた雪千代の顔をまじまじと見つめた昇平は、その美しさに素直に感歎した...。

主な出演者新珠三千代 他