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![]() 長い長い梅雨が明け、ようやく夏になったと思ったら、暦の上ではもう秋。まだまだ暑い日が続いていますが、空や風には秋の気配が…。みなさん、お元気ですか? 残暑にめげず、スカイ・ステージでタカラヅカを楽しみましょう。 さて、今回の番組チェックは、宙組に新たに誕生した主演男役スター、貴城けいの番組を取りあげましょう。雪組での下級生時代から、主演お披露目の博多座公演『コパカバーナ』初演までを舞台映像でつづった「貴城けい 新たなる飛翔」と、その『コパカバーナ』制作の過程をリポートした「宙組公演『コパカバーナ』プロダクション・ノート」です。
貴城けいは、1992年雪組『この恋は雲の果てまで』で初舞台。雪組に配属され、以来雪組育ちです。今年5月に宙組に移動し、このたび博多座『コパカバーナ』で主演男役に就任したばかりですが、「貴城けい 新たなる飛翔」ではその軌跡を舞台映像で見ることができます。まずうれしいのは、収録されている作品の豊富さです。作品名を上げてみましょう。明記したもの以外は大劇場公演です。 '96年『アナジ』(バウ)、'98年『ICARUS』(バウ)、『浅茅が宿』、'00年『ささら笹舟』(バウ初主演)、『宝塚 雪・月・花』(ドイツ・ベルリン公演)、'01年『アンナ・カレーニナ』(バウ)、'03年『春麗の淡き光に』『Joyful!!』、『アメリカン・パイ』(バウ主演)、『Romance de Paris』『レ・コラージュ』、'04年『1914/愛』『タカラヅカ絢爛』(星組に特別出演)、『飛鳥夕映え』『タカラヅカ絢爛II』(月組に特別出演)、『青い鳥を捜して』『タカラヅカ・ドリーム・キングダム』、'05年『睡れる月』、『霧のミラノ』『ワンダーランド』、『DAYTIME HUSTLER』(バウ主演)、'06年星組『ベルサイユのばら』(宝塚大劇場公演にオスカル役で特別出演)、雪組『ベルサイユのばら』(アンドレ&ジェローデル)、ディナーショー「NEXT DOOR」、そして『コパカバーナ』。 どうですか。すごい数でしょう。見ていくと『アナジ』『ICARUS』あたりではまだ幼な顔だったののがしだいにキリリと引き締まり、大人びていく様子が手に取るように分かります。 転機になったのはやはり『ささら笹舟』でしょうか。この作品で貴城は、明智日向守光秀、光秀の影武者・妻木幸四郎、旅の雲水の3役を演じています。時代物の難解な台詞、甲冑も含めた重い衣装、早変わりなど数々のカセが、かえって役者としてのジャンプを呼び寄せたのでしょうか。主役としての求心力がズシンと増した気がします。
さらに大きなジャンプは『アンナ・カレーニナ』のカレーニンでしょう。妻に裏切られ、嫉妬に苦しみ、それでもなお妻を愛する夫の複雑な心情、包容力を見事に表出、役の幅を大きく広げました。端正な美貌で、それまで貴公子、または妖艶なイメージ(ベルリン公演『宝塚 雪・月・花』の姫の美しいこと!)が強かった貴城に、こんなに人間くさい大人の役が似合うとは、当時驚いたのを覚えています。今年の「宝塚おとめ」で貴城が「好きだった役」として挙げたのがこのカレーニンと、『アメリカン・パイ』のグラン・パ。「演じてみたい役」が「人間味のある役」。やはり『アンナ・カレーニナ』は本人にとっても転機となった作品であり役だったのでしょう。『アメリカン・パイ』のグラン・パも人間味のある役ですね。 『春麗の淡き光に』『Joyful!!』以降は、朝海に次いで、雪組を引っぱる立場に。'04年は各組の人気男役スターが他組へ特別出演した年で、これは貴城にとって大きな経験だったと思います。とくに月組『飛鳥夕映え』では、同期の瀬奈じゅん、大空祐飛と、軽皇子、中臣鎌足、蘇我石川麻呂の3役を競い、それはそれは大変だったに違いないのですが、改めて映像で見てもその演じわけは見事で、とくに腹黒い鎌足役が出色です。星組、月組両方の『タカラヅカ絢爛』での奮闘ぶりも忘れられません。 一回り大きくなって戻ってきた『青い鳥を捜して』では、デニス役を優しさを滲ませながらコミカルに好演。『霧のミラノ』のベルガーは主人公の敵国側の司令官で恋のライバル、物語の幕を締める役でした。『ワンダーランド』で娘役たちを引き連れて銀橋を回るシーンにはスターの輝きがあります。久しぶりのバウ主演『DAYTIME HUSTLER』では心情表現の深みに感嘆。 そして『ベルサイユのばら』のオスカル、アンドレ、ジェローデル3役。オスカルははまり役ですが、アンドレの温かみ、包容力も似合いでしたね。今回、今宵一夜の場面でオスカルとアンドレの両方が見られて、これはうれしかったです。 最後は『コパカバーナ』。宙組異動後、7月4日に福岡で行われた制作発表、稽古場の様子から、8月1日の初日映像で番組は終わりました。
その宙組『コパカバーナ』の初日までを詳しくレポートしたのが「宙組公演『コパカバーナ』プロダクション・ノート」。6月、星組が梅田芸術劇場で上演された作品の続演で、歌手でソングライターのバリー・マニロウが自身のヒット曲「コパカバーナ」を基に作り上げたミュージカルです。現実と想像の二重構造で、作曲家スティーヴンと彼が夢みるミュージカルの世界が行き来して展開します。貴城はスティーヴンと、彼が想像するミュージカル、劇中劇での作曲家志望のトニーの2役。相手役の紫城るいは、スティーヴンの妻サマンサと、劇中劇ではスター志願の若い娘ローラ。劇中劇でギャングのリコは大和悠河、リコの女コンチータには、星組に続き遠野あすか。また星組では未沙のえるが演じた支配人サムには、その息子という設定で、花組から組替えしてきた蘭寿とむが入りました。 番組は初日映像、スティーヴンがガウンを着てミュージカルの登場人物たちと歌い踊るシーンから。続いて7月4日の制作発表の模様。黒のジャケットと白いシャツの貴城と、シンプルな白のワンピースの紫城の挨拶から始まりますが、紫城の「貴城さんは非常に努力される方」というコメントが印象的です。「スターさんというのはこうやって努力をされるんだと学びました」。2人の出会いは'04年、貴城が特別出演した月組『飛鳥夕映え』と『タカラヅカ絢爛II』。当時月組にいた紫城にとって、夜遅くまで稽古して3役役替わりという重責に挑む貴城の姿が鮮烈だったようです。貴城の紫城に対する印象は「おっとりした感じで、周りをキリキリさせず、安心できる人」。「フワーッとしていていいな」と笑います。早くもよきコンビぶりが感じられる会見風景でした。 稽古場風景はまず、7月12日。紫城をまん中に貴城と蘭寿がからむシーンの振付、大和と遠野、紫城の酔っぱらい場面などの稽古が、御織ゆみのの指導のもと続きます。歌いながら踊る貴城、タカラヅカの稽古は踊りと歌が重層的に行われるのですね。稽古序盤ながらもう歌詞が入っています。台本を手にし貴城に指示する御織。ダンスの振りだけでなく位置取り、仕種も細かくつけ、振付家はこういったところまで担当するのが分かります。これを見ていると振付家出身の演出家が多いのも納得できます。
7月20日は、今回ブロードウェイから招かれた振付家ダレン・リーの稽古がメイン。通訳つきで、生徒たちは胸に名前(呼び名)をローマ字で書いたゼッケンをつけています。貴城にからんで娘役たちが羽根扇を持って踊るシーン、男役たちが貴城や大和の周りを踊るシーンなど、ダレンが実際にやってみて振りを移していきます。手や肩、腰の使い方など、すべてを大きく、メリハリをつけろという指導。リズムを強調します。これがブロードウェイ的なアクセントの強いダンスシーンにつながって行くのかと納得。もちろん歌や演技の練習もハードに続き、ピアノの前で譜面を持ち歌稽古する貴城、場面稽古が進むにつれ汗だくになっていきます。途中で稽古着が替わるんですよ。必死で真剣な表情です。紫城、大和、蘭寿、遠野も同様で、場面がだんだんできてくる様子がうかがえます。 7月22日、25日。踊りや歌の部分稽古から物語にそった全体稽古になり、流れがよく分かります。トランクや傘など、小道具も登場してきました。劇中ミュージカルの田舎娘ローラがニューヨークのクラブ「コパカバーナ」にやってきたシーン、煙草売りの娘グラディス・美風舞良とのやりとりが笑わせます。グラディスは星組公演では組長の英真なおきが演じた役ですが、美風はコミカルでエネルギッシュ、いい味を出しています。支配人サムには、二代目という設定で蘭寿が入っていて、毛布の切れ端が手放せないチャイルディッシュなキャラクターがおかしい。リコ・大和とコンチータ・遠野の派手な仕種も板についています。リコに騙されて酒を飲んだローラの、酔っぱらいぶりが可愛らしい。星組からの連続出演する遠野はさすがのあでやかさ。 プロダクション・ノートの楽しみは、稽古場での何気ない表情、仕種。演出の三木章雄、音楽監督の吉田優子の細かい指示に真剣に聞き入る出演者たちの様子は必見です。コーラス、アンサンブルもどんどん進化し、場面に厚みが出てきました。ダンスや歌、台詞が身体に入って堅さが取れ、流れがしだいにスムーズになり、迫力が増していくのが手に取るように分かります。25日の「コパカバーナ」のシーンの迫真ぶりは大したものでした。 そして8月1日、いよいよ初日です。初日舞台で、ゴールドの華やかな衣装で踊る貴城。再び同じ場面の稽古場風景で番組は終わりました。メンバーを引き連れ踊り歌う貴城の、凄みさえ感じさせる力強い目つきが目に残りました。 さて次回の番組チェックは、星組に関した番組を2つ取りあげましょう。まずは各組人気男役の舞台と素顔を徹底追求する新番組「Brilliant Dreams」の第1回、星組の次期主演男役に内定した安蘭けいをフィーチャーした「Stage」。2回連続で、10月は「Personal」だそうです。もう1つは、阪急沿線の小さな旅を紹介する「阪急沿線プチボヤージュ」のスペシャル、「星組メモワール」もピックアップ。'03年から'05年に放送された映像を、出演メンバーが集合して収録時のエピソードや思い出を語り合います。未公開映像も放送されるそうですよ。それではお楽しみに、ごきげんよう。M・Kでした。 |
■カウントダウン特集バックナンバー(2001年4月17日〜2001年7月1日) |
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