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![]() ![]() 暮れもおしせまり、お正月も間近な今日この頃、皆さまいかがお過ごしですか? お久しぶりのM・Kです。今年最後の番組チェックをお送りします。 1月のスカイ・ステージの目玉は、なんといっても、待ってました!「エリザベート」−愛と死の輪舞−の3作一挙放送でしょう。テレビ初登場、しかも過去3公演、雪組・星組・宙組のすべてをいっぺんに見られるのですから、これぞ宝塚歌劇専門の放送局、スカイ・ステージならではの快挙。残念ながら放送は1月1日の1回だけですが、これは原作者の厚意により元旦の1回放送に限り許諾してもらえたので特別に実現したとか。これを見逃す手はありません。急げ!とばかりに加入手続きをしている方も多いのではないでしょうか。私も、元旦は万難を排してテレビに集中。「エリザベート」三昧のつもりです。
しかもです! 1月に東京宝塚劇場で上演される、花組「エリザベート」のメイキング番組「メイキング・オブ・エリザベート」も同時放送されるのです。制作発表やポスター撮りの風景、お稽古の模様などを収めたこのメイキングで「エリザベート」を見る楽しみも倍増することうけあいです。トート春野寿美礼、エリザベート大鳥れい、ルキーニ瀬奈じゅん、フランツ樹里咲穂(専科)など、出演者一同のお稽古風景が楽しみです。 「エリザベート」は、’92年、ウイーンで初演された、ハプスブルグ家の皇妃エリザベートの生涯を描いたミュージカル。宝塚歌劇団の「エリザベート」は、そのオリジナル脚本を男役中心のタカラヅカに合わせて、小池修一郎が潤色・演出。元はエリザベートが主役のところを、男役が演じる「死」トートを主人公に、トートとエリザベートの成就しがたい恋を中心にすえて、ドラマティックに仕上げています。’96年、雪組で初演されて大ヒット。同年早くも星組で再演され、’98年には宙組で再々演。そして’02年花組で上演(’03年1月、東京宝塚劇場で上演)という、現代のタカラヅカを代表する傑作の一つと言えるでしょう。 タカラヅカの「エリザベート」の魅力は、まずなんといっても「死」トートの妖しい美しさにあるでしょう。男役の持つ虚構性が「死」という役の非現実性とぴたりとはまり、ほかでは真似できない、タカラヅカならではの作品となっています。またエリザベートの、自由を希求し戦うお姫さまという、タカラヅカでは今まであまりなかったキャラクターの今日性も、魅力的です。夫フランツ・ヨーゼフ、皇太后で姑のゾフィー、皇太子ルドルフ等、それぞれドラマを抱えた多彩なキャラクターが登場し、MC役ルキーニも強力。さらに音楽、踊り、空間、衣装、照明など、どれをとっても隙がありません。 さて初演、雪組の「エリザベート」を最初に見たときの感動は、今も忘れられません。最初のルキーニの登場から照明の美しさに目を奪われ、続いて登場する霊魂たちのダイナミックな動き、そして神秘的な「死」トートの出現……その時点で早くも「エリザベート」の世界に魅入られてしまったのです。 一路真輝の退団公演となったこの公演、最初はトップがサヨナラ公演で「死」を演じることについて賛否両論あったそうですが、実際に上演されてみると、一路の中性的な持ち味がトートにぴったりで美しく、また難曲ぞろいのナンバーを歌いこなした歌唱力も彼女ならでは。男役・一路真輝の最大の当たり役と言えるのではないでしょうか。
タイトルロールのエリザベートは花總まり。高貴な美貌と硬質な持ち味が、ハプスブルグ家の孤高の皇妃にはまり、これまた当たり役に。この時点で入団6年目の花聰、この公演では、少女時代の真っすぐな可愛らしさ、結婚直後の「私だけに」の絶唱が印象的でした。豪華な衣装の着こなしもさすがで、とくにACT1ラストの白のドレスはみものでした。エリザベート、フランツ、トートが一堂に会するこの場面、客席全員が息をのんだほどの名シーン。お見逃しなく。 フランツ・ヨーゼフは高嶺ふぶき。弱さの表現に新境地を拓き、当たり役になりました。エリザベートに対する情と国王という公の立場との間で揺れる様が現代的で、姑である皇太后ゾフィー(朱未知留)と妻のエリザベートの間で苦悩するあたり、男性観客に人ごとではない共感を呼んだとか。 ドラマの進行役を務め、最後はエリザベートを暗殺するルキーニには、轟悠。男くさく力強い演技で、ドラマを強力に押し進め、これまた当たり役となりました。そのほか皇太子ルドルフで、香寿たつきが一路と絶妙なデュエットを聞かせて新境地を拓き(東京は和央ようか)、子どものルドルフ安蘭けい、ソフィー朱未知留、さらに革命側のエルマー和央ようか(東京は高倉京)などの熱演にも、すばらしいものがありました。 そして見逃せないのが群衆劇としての側面で、つまり庶民側で大活躍の民衆たちです。「エリザベート」をめぐる悲劇は、視点を引いてみるとハプスブルグ家の崩壊、帝政から共和制という歴史の流れの中にあるわけで、それを体現する民衆たちの、たとえばミルクの場面などのダイナミックな高揚感は、見どころの一つだと思います。音楽的にも「エリザベート」は、主旋律に複雑に絡む重唱が特徴で、どのパートもそれこそ超難解。初演当時の稽古では、すべての出演者が膨大な譜面を手に、暇さえあればひたすら練習をしていたそうで、お手本がない初演メンバーの奮闘ぶりは、賞賛を呼びました。 続く星組公演は、トートに麻路さき、エリザベートに白城あやか、フランツに稔幸、ルキーニに紫吹淳、ルドルフに絵麻緒ゆう、子どものルドルフに月影瞳、ゾフィーに出雲綾、エルマーに湖月わたるなど。
この公演は、一口でいって、タカラヅカの「エリザベート」を定着させた公演といえるでしょう。どちらかといえば歌の苦手な麻路が難しい曲を歌いこなせるか、公演前の話題はその辺に集中していたと思うのですが、実際に見てみると麻路は、長身の美しさを生かして、見せるトートという形で難関をクリア。長い手足に華やかさを増した衣装が映え、大きな手の存在感も印象的でした。もちろん猛特訓の結果、歌唱面でも大進歩していましたが、とにかくこの世ばなれした妖しい美しさ、超越感はさすがで、これぞタカラヅカのトートという説得力がありました。 白城はこれがサヨナラで、大人びた個性の持ち主だけに、ACT2の成熟したエリザベートにより魅力がありました。フランツの稔は高貴で端正で、老人になってからの好演が光ります。ルキーニの紫吹はひょうきんさがよく、絵麻緒ルドルフのもろさも魅力でした。そのほかみんな好演していましたが、この公演で忘れられないのは、陵あきの演じるところのヴィンディッシュ嬢。自分をエリザベートと思いこんでいる精神病患者の役で、ボロボロの扇を広げ、病院を訪問したエリザベートと対立するシーンでは、目が離せませんでした。 2年後の宙組は、新しい組にふさわしく、若々しい「エリザベート」という印象があります。
トートは姿月あさと。力強くシャウトする歌唱力と、がっしりした長身の男役の「美」の、両方を兼ね備えた、ギリシャ神話の美神のようなトートでした。エリザベートは雪組に続き、花總まり。初演から2年たち、ACT2のエリザベート、大人になってからのエリザベートの成熟した美しさと、すごみを増した孤独感の表現が傑出していました。再びヴィンディッシュ嬢を演じた陵あきのとのシーンは、涙を誘います。フランツは和央ようかで、スマートで若々しくさわやかなフランツ。ルキーニは湖月わたる、ルドルフは朝海ひかる(東京は樹里咲穂)、ゾフィーは出雲綾、エルマーは夢輝のあ、子どものルドルフは初嶺まよ。 それから、この宙組公演の放送でちょっと注目していただきたいのが、公演のビデオ化にあたり、日本映画界の鬼才・実相寺昭雄監督が映像監督をつとめているということ。アップを多用した斬新な映像は、単なる舞台中継の枠を超えたものとなっています。 いよいよ1月1日と迫ってきた、「エリザベート」3作一挙放送。この作品にはいろいろ思い入れがあるだけに、私の筆にもつい力が入ってしまいましたが、この放送、実際の舞台を見たことがない方には「エリザベート」入門として、そして見たことがある方はじっくりと思い出していただくための、またとないチャンスだと思います。絶対にお見逃しなく。そして機会があったら、実際の舞台をぜひご覧ください。「エリザベート」は、なんといっても現代のタカラヅカを知るための、ベストチョイスですから。 さて11回目となった、私の番組チェック、次はなにをご紹介できるでしょうか。 1月はほかにも、新・宝塚大劇場開場10周年記念の特集「新劇場を彩ったトップスターたち(1)」として、安寿ミラ、久世星佳、轟悠、紫苑ゆうの各トップスターの作品や、雪組新トップ朝海ひかるへのロングインタビューや主演作「アンナ・カレーニナ」など、充実したラインナップが並びます。 実はまだ年賀状を書いていない、M・Kでした。ではみなさん、次回までごきげんよう! |
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■カウントダウン特集バックナンバー(2001年4月17日〜2001年7月1日) |
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