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![]() ![]() 本当に久しぶりですが、みなさまお元気ですか? 長い長い夏が終わり、季節はようやく秋。涼しくなってホッとしつつ、そろそろセーターを引っ張り出さねばと思っているM・Kです。秋の夜長は、なんていってもスカイ・ステージがいちばんですよ。 さて今回の番組チェックは、9月23日、日生劇場花組公演『Ernest in Love』でタカラヅカを退団した樹里咲穂の、サヨナラ特集を取りあげてみましょう。9月に放送されたこの特集では、なんと5本の番組が放映されました。樹里咲穂がいかに愛されていたか、この本数に現れている気がします。 ![]() まずは「Memoiries of 樹里咲穂」から。舞台人、樹里の軌跡が、’90年の初舞台・花組『ベルサイユのばら』から、大劇場退団の花組公演『マラケシュ・紅の墓標』&『エンター・ザ・レビュー』、そして『Ernest in Love』まで、たくさんの舞台映像でつづられています。楽屋入りなどのオフ映像、また樹里らしく楽しく、率直なコメントも見どころ、聞きどころの一つです。 合間に、湖のほとりや風情のある教会、明かりの美しい夜景などを樹里が散策する映像が入り、ちょっとプロモーション・ビデオみたいな作りです。場所はどこだろうと思っていたら、最後のテロップで、小樽などの北海道と確認。わざわざロケをしたんですね。 樹里は月組の下級生時代からずっと気になる存在で、芸達者で、太陽のように明るい芸風がどこにいても目立っていました。その樹里の存在感がグッと大きくなってきたのは、本人も番組で言っていましたが、’95年『ME AND MY GIRL』(月組)新人公演のジャッキーのころからでしょう。このジャッキーが好評で、翌年の中日劇場公演では本役に昇格。ミュージカルが似合い、女役もできる樹里を印象づけ、’98年『WEST SIDE STORY』(月組)のアニタにつながります。 しかし私には、その前年の’94年のバウ『WANTED』のリュリュが気になりましたね。番組中で正塚晴彦も言っていましたが、「貧乏でさえなけりゃなぁ〜」とか言いながら、海に向かってキザに石を投げるシーンのおかしみは、今でも忘れられません。このおかしみが、やはり樹里のいちばんの持ち味なのでしょう。コメディアンとしての才能は’97年バウ『Non-STOP!!』、パンチョ先生として花開きます。カルメン先生の星野瞳と2人、はじけていました。しかしこの作品で樹里は、雰囲気たっぷりにブルースを歌い、超絶技巧でダンスを披露するなど、技術の確かさも証明しています。樹里ってうまいな、と感心した覚えがあります。
大好きだったのが、共に正塚作品の、’98年『ブエノスアイレスの風』(月組シアター・ドラマシティ)のリカルドと、’99年『Crossroad』(宙組シアター・ドラマシティ)のデュシャン。リカルドは追いつめられたテロリスト、デュシャンは女ったらしで情けない、イヤ味だけど憎めないヒモ男。人間って哀しいな、生きていくことはつらいなと泣かせてくれました。コメディアンとは別の樹里の一面を、正塚が引き出したのですね。バウ初主演、2000年宙組の『FREEDOM』も、この路線があればこその企画だと思います。 懐かしい映像を見ているうちに個人的な思い出にひたってしまいましたが、この番組の目玉は何と言っても、退団大劇場公演『マラケシュ・紅の墓標』と『エンター・ザ・レビュー』の最後の稽古場、7月3日・東京公演千秋楽の、楽屋入り、楽屋裏、そして舞台映像(遠野あすか、矢代鴻とのアドリブも。ショーのコメディアンもアドリブ炸裂)と、サヨナラショーの映像でしょう。 サヨナラショーはダイジェストですが、『JUBILEE-S』から“HOPE”、『Cinderella』から遠野との“Ten Minutes Ago”、客席に降りてにぎにぎしく『ME AND MY GIRL』の“ランベス・ウォーク”、『ファントム』からしっとりと“You Are My Own”、そして樹里のテーマとも言うべき“New York New York”で幕となりました。海外ミュージカルと縁の深い樹里らしいショーです。
紋付き袴で大階段を降りてきた樹里は、同期の高翔みず希から贈られたひまわりの花束を持って挨拶。「偶然ですが、花組でサヨナラできて幸せです」と始め、宝塚GRAPHの取材で母校を訪れたとき、恩師に「お前明るくなったな」と言われたエピソードを披露。「小・中・高と明るさには遠い、地味でちょっと暗い人だった私を、コメディアンができるほど明るい性格にしてくれたのは宝塚です。宝塚に出会ったことは一生の宝です」と続けます。「9月まで3か月あります。私らしく1歩ずつ楽しく歩んでいきたいと思います。…本当にありがとうございます」と、笑顔で締めくくります。本当の退団はまだだからか涙はありません。そして楽屋を出て、劇場前をパレード。降り出した雨の中、樹里は待ちかまえていたファンに手を振りながら、東京宝塚劇場をあとにしました。 番組は、東京公演のあと開かれた「宝塚パリ祭2005」、『Ernest in Love』の稽古風景、9月1日の初日映像で終わりました。ほかにも、安蘭けい、遠野、高翔からのメッセージなど盛りだくさんですが、ぜひ放送をお楽しみください。「“オンリーワン”の人間になりたいと言い続けて来ましたが、山あり谷ありの濃い16年間でした。…一つの人生がここでハッピーエンド」と明るく話す笑顔が、印象的でした。
その樹里が本当に宝塚歌劇団のサヨナラしたのが、9月の日生劇場花組公演『Ernest in Love』。花組『Ernest in Love』プロダクション・ノートは、6月1日の制作発表記者会見の模様から、稽古風景、初日の9月1日までを、映像で克明に追った番組で、ダンス、唄、演技と、稽古が進み、作品が出来上がっていく様子が興味深く描かれています。唄稽古で、歌唱指導の楊淑美が、たとえば下から持ち上げるように動作をさせながら声を出させると、明らかに声に力強さが出るところとか、音楽監督の甲斐正人の「コメディをやるつもりでなく、大悲劇をやっているつもりで」などニュアンスを説明するところとか、興味深かったですね。アンサンブルが非常に重要な要素となっているこの作品、複雑に動きながらのコーラスが難しそうでしたが、甲斐や楊の一言で、見る見るうちに声の表情が豊かになっていくのです。メンバーには下級生が多く、比較的上級生の望月理世らが中心となって自主稽古をくり返していました。そういった努力を惜しまないのが、タカラヅカのいいところですね。 稽古は、樹里いわく「最後にして、血のにじむような稽古」とか。かなりハードだったようです。しかし映像で見る限り、真剣に、しかし冗談を言いながら、稽古を楽しんでいる様子で、どんなにしんどいときでも、楽しそうなのが樹里らしい。稽古場の片隅で同期の高翔と楽しそうにおしゃべりしていましたが、何を話していたんでしょうか。 8月26日に行われた通し稽古には、シアター・ドラマシティの先行公演で主演した月組の瀬奈じゅんも顔を見せ、1幕終了後にはスクラムを組む一幕も。2幕も無事終了し、フィナーレでは共演者の手作りの白い羽根を背負って登場した樹里。これで本当にこの稽古場ともお別れです。贈られた花を持った樹里の脇で、出雲綾が涙を流しています。樹里自身は「泣かずにがんばったよ」。9月1日、初日映像が流れ、樹里の「幸せです!」という舞台挨拶で番組は終了しました。
ダンスに定評のある樹里ですが、歌手としても、よく通る粒だった声に恵まれ、とくに高音部には定評があります。そんな歌手・樹里の魅力を堪能できるのが、東京宝塚劇場公演終了後、東京と大阪で開かれた、「宝塚パリ祭2005」。その舞台映像がスカイ・ステージのオリジナルとして早くも登場しました。リハーサル風景、開幕前の樹里のコメントも収録されているのがうれしいですね。毎年恒例の宝塚巴里祭ですが、今回で10回目とか。収録はホテル阪急インターナショナルで、東京のあととあって、樹里に加え、遠野、初姫さあや、愛純もえり、月央和沙、花咲りりか、望海風斗、彩城レア、梅咲衣舞、瀬戸かずやという花組メンバーが、リラックスした練れた舞台を展開しています。 樹里が歌ってみたかったシャンソンに、今風のフランスの曲に、タカラヅカでのパリ・メドレー、そして芝居仕立ての場面もあり、群舞もありの、バラエティに富んだ構成で、テンポよく進みます。 樹里はまず花組生の“LUSIEN ET LES SIENS”にのって銀色燕尾で登場し、“QUAND LA VIE VA”を歌います。“モン・パリ”、“パルファン・ド・パリ”など、タカラヅカのパリ・メドレーが続き、遠野との“セ・シャルマン”、“ジュテーム”、メンバーが踊って“CAN CAN”で盛り上がります。出演者の自己紹介(樹里の薫陶かみんな上手です)などのトークのあと、樹里がソロで“メランコリー”をしっとりと。鮮やかな青いスーツに着替え、“摩天楼”、“Baliaor”などで、ガーター姿の遠野と激しく踊ります。これが色っぽかったですね。遠野との“あきれたあんた”は一幕の芝居のようです。布を使ったダンス“セ・マジック”に続いて白いブラウス、黒のパンツで登場。“ラ・ボェーム”をドラマチックに歌い上げます。遠野が娘役を従えて“薔薇のタンゴ”を歌い踊り、赤いタキシードで樹里が登場。男役と“黒いバラ”を踊りました。パリの思い出を語り会場を沸かせたあと、“パローレ”で別れの哀しさを。
最後は芝居仕立ての「パリのレビュー小屋」。白の上下に赤い羽根ストールを巻いた樹里が“毛皮のマリー”を披露して会場を沸かせ、楽屋に帰ると、掃除婦・遠野がいて…“大根役者”で役者の誇りを歌っていると、遠野が女優に変身して再登場。薔薇を手に“思い出”を歌いました。退団にからめた歌詞で“Gentry Break My Heart”、紫の華やかな上下に羽根ストールに着替えてのアンコールは“LAST DANCE”。さらに今日だけという特別アンコールで、樹里は十八番の“New York New York”を披露してくれたんです! 最後は樹里の顔がついた鉢巻きを巻いた共演者たちから、薔薇の花のプレゼント。「本当に樹里は愛されてます! ありがとう!」…樹里の絶叫でショーは終わりました。エンターテイナー樹里の真骨頂を見るような、充実したショーでした。
さらに’04年に、卒業生の姿月あさとを迎えて行われた、エンカレッジ・スペシャルコンサート「Angels in Harmony」千秋楽の模様も放送されました。ダンスなら下級生にも比較的チャンスがありますが、歌にはそういった機会が少ないと、姿月が退団時に提案したというエンカレッジ・コンサート。よりすぐりの歌手を集めて各組で開かれましたが、そのスペシャル版として、姿月が特別出演、樹里も参加したものです。姿月が持ち前のやわらかな美声で歌った“MAI PIU'COSI'LONTANO”、“そして今は”、“夢幻”に酔わされ、“LOOK FOR THE SILVER LINING〜TOMORROW”、“OVER THE RAINBOW”、“夢人”では樹里のクリアな歌声に気持ちが高揚。そして2人がデュエットした“New York New York”、“闇が広がる”のすばらしさ。まさに夢のコラボレートです。 しかしそれにもまして、宙組の共演者たち、天羽珠紀、真木薫、遥海おおら、和音美桜、葉室ちあ理、花露すみか(以上ソロメンバー)らの歌声が素晴らしかったんです。和音の“DON'T CRY FOR ME ARGENTINA”、天羽の“星から落ちる金”、遥海の“ママ、どこにいるの?”など、耳について離れないほど。この実力を発揮する場所がもっとあったら、そんな感慨が浮かんだコンサートでした。最後は全員で“明日へのエナジー”で感動的に締めくくられました。ぜひ一度ご覧下さい。
樹里といえば、楽しいトークも評判です。そんな樹里のトーク番組が、JURIの“それってどうなの!?”。昨年からスカイ・ステージで始まった人気番組も、樹里の卒業で9月が最終回。ゲストに瀬奈じゅん・大空祐飛を迎え、大月さゆのアシスタントで行われました。ゲストの素顔を引き出す名人、樹里咲穂。そのトーク術は最終回でも健在ですが、瀬奈と大空の格好は、なんと『Non-STOP!!』に登場したアイドルグループ、ズカップの扮装なのです! そして樹里は当然、パンチパーマでラテン系のダンス教師、パンチョ先生。実際に『Non-STOP!!』に出演し、ズカップの一員だった大空の指導のもと、瀬奈と大空はシャツを赤と青に染め、鉢巻きも手製です。『Non-STOP!!』の話題で盛り上がり、温かい雰囲気が最高でした。 この番組、途中からコスプレの様相を呈してきて、立樹遥と真飛聖のアントワネット姿、霧矢大夢と彩吹真央の蕎麦打ちなど忘れられません。今回の最終回には、今までのゲストが勢揃いした特別付録がついていました。今年2005年登場の、湖月わたる、壮一帆&音月桂、柚希礼音&陽月華、朝海ひかる、白羽ゆり、晴華みどり&大月さゆ、霧矢、彩吹、貴城けい、青樹泉&彩那音&真野すがた、蘭寿とむ&未涼亜希(京都・太秦撮影所で時代劇。蘭寿はあんみつ姫!)、水夏希、十輝いりす&和涼華&早霧せいなは、特別収録で再登場。番組の思い出、樹里へのメッセージを語ります。真打ちは美郷真也&寿つかさです。番組収録時と同じ割烹着に手ぬぐいで鉢巻きの家政婦姿で登場し、樹里に温かくもおかしな餞の言葉を贈ります。これまでの“それどう”がフラッシュバックで流れるのですが、第1回は遠野あすかだったんですね。『Ernest〜』では相手役でしたし、縁の深い人です。 さて樹里咲穂の番組をチェックした今回の番組チェックはいかがでしたか? 10月には、博多座の『花舞う長安』『ロマンチカ宝塚’04』が登場。この博多座公演は大劇場公演に先だって行われ、キャストも構成もだいぶ違うので、楽しみです。瀬奈のトップスター・ロングインタビュー、宙組『炎に口づけを』『ネオ・ヴォヤージュ』東京公演で退団する初風緑のサヨナラ特集などいろいろ気になりますが、どうしましょうか。次回をお待ち下さい。M・Kでした。 |
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■カウントダウン特集バックナンバー(2001年4月17日〜2001年7月1日) |
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