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![]() ![]() 前回で「暑い」「暑い」と書いていたら季節はあっという間に移り変わり、セーターどころか朝夕にはコートを着てもおかしくない涼しさ(寒さ?)の今日この頃です。本当にお久しぶりですが、お元気ですか? MKです。私は10月はじめに風邪をひいてしまい、治るまでに2週間以上かかりましたね。ということで今回の番組チェック、だいぶ遅れてしまいましたが、さて行ってみましょう。 10月のスカイ・ステージでは、宙組公演『白昼の稲妻』にちなみ、ベテラン演出家・柴田侑宏の7作品を一挙に放送。そして柴田とOG2人、元星組主演スターの峰さを理、元花組主演スターの高汐巴がトークした特別番組、「演出家と語る『柴田侑宏』」が放送されています。今回はまずこの番組を取りあげてみましょう。生徒と演出家、立場は変われども、密度の濃い一時期をともに過ごした3人。同士ともいうべき3人のトークは率直で温かく、聞き応え十分でした。
これを詳しくレポートする前に、今回はもう一つ、10月から始まった新番組「TAKARAZUKAメロディーア」の初回をまずチェックしてみます。宝塚歌劇の歴史を彩った珠玉の名曲を、宝塚歌劇オーケストラの演奏で送るというもの。15分という短い番組ですが、なじみの名曲をオーケストラの演奏だけで聴かせるシンプルさが逆に心地よいというか、ホッとする時間を作ってくれます。司会は月組の美々杏里と雪組の美穂圭子。現在のタカラヅカを代表する名歌手といっていい2人で、テーマ曲「TAKARAZUKAメロディーア」(中村暁作詞、吉田優子作曲)では美声も披露しています。第1回、10月のテーマは、「愛」その(1)。1曲目は、鴨川清作作・演出のショー「ポップ・ニュース」から、寺田瀧雄作曲「愛」。耳になじんだ名曲ですが、初出作品をこの番組ではじめて知りました。2曲目は、「情熱のバルセロナ」(柴田侑宏作・演出)から「この時 この愛を」(寺田作曲)。そして3曲目は「ベルサイユのばら」(植田紳爾脚色・演出)から「愛あればこそ」(寺田作曲)。それぞれの曲調に合わせ、ロック、クラシカルとアレンジや編成も変え、オーケストラの方々が熱演しています。珍しい舞台写真や映像も見られ(「ベルばら」は榛名オスカル、初風淳アントワネットという初演写真)、きれいなメロディーを聞けて、いやしの時間が過ごせました。それにしても美々と美穂のデュエットのなんと心地よいこと! 組が違う2人のコーラスなんて、この番組がなければ聞くチャンスもあまりなかったはず。感謝! です。そこで思ったのですが、せっかく2人が出ているのですから、テーマ曲以外にも、1曲くらい歌入りでどうでしょうか?
さて「演出家と語る『柴田侑宏』」です。出演の峰と高汐は80年代の主演スターですが、スカイ・ステージで舞台映像が数々放送されているので、おなじみですよね。最近の柴田作品としては、峰は10月の柴田特集で『紫子』が、高汐は11月に『琥珀色の雨にぬれて』(初演)が放送されます。どちらもそれぞれの、そして柴田にとっても代表作ですから、こちらもぜひお見逃しなく。 2人は同期、しかもトップ就任も退団もほぼ同時期ですが、柴田が冒頭に「非常に対照的というか、色の違う2人で」と紹介している通り、持ち味はだいぶ違います。柴田によると、峰は「入ったときから利口そうでしゃきしゃきした感じ」で、高汐に関しては「鷹揚な……」と言いかけて言葉を探し、それに高汐が「口ごもって(笑)……対照やったらすぐわかる(笑)」と返す、そういうキャラクター。峰が、優等生で歌がうまく日舞の名手、日本ものに定評があるのなら、高汐はヤンチャでいたずら好きが有名で、独特の存在感が人気で、どちらかといえば洋ものに魅力を発揮した人です。今回のトークでも、峰が渋い着物姿なら、高汐はブラウスにロングスカートでシックに決めています。両脇から柴田をはさみ、同期生らしいトークを展開、楽しませてくれました。
内容的には、柴田が2人に、タカラヅカ志望動機から音楽学校、初舞台、下級生、新人公演、主役時代、そして退団、卒業後の女優活動について聞くという構成。2人について熟知している柴田ならではの、かなり突っ込んだ質問に、これまた対照的なのですが、峰は明確に反応。記憶鮮明で作品名などの固有名詞や年代もすらすらと出てきて、整理された話しぶりです。対して高汐は、本人が「昨日食べたものも覚えていない」と言う通りのとぼけた応答ぶりで、峰の「こうだったよ」という発言に、「そうだった? 覚えていない……」、「ああ思い出した」という調子。マイペースでおおらかな回答がなんだかおかしい人です。新人公演に関しても、研2から「丸々6年主役をやった」主役路線まっしぐらの峰に対し、「私は端役が多かったんです」という高汐。重要な役をやり始めてからも、「新人公演はいつも大爆笑でね……声はひっくり返るし、上がり性だし、失敗ばかりでおかしかった」。柴田も峰は「だいぶしごいた」のですが、高汐のことは「心配していた」とか。 「ハイソックスを忘れて長手袋をはいたことがある」峰、「鼓笛隊のシンバルを3枚割ったことがある」高汐など、下級生時代の失敗談やいたずら話も愉快でしたが、私が興味深かったのが、柴田の稽古場での演出ぶり。男役はもちろん、女役から子役まで、実際に演じて見せてくれ、それがまたうまかったとか。その辺のトークをちょっとご紹介しましょう。
(峰)「先生が『こうやって』って動きはるのが、もう男役でしたよ、キザでカッコよくて」 (高汐)「ダンディ!」 (峰)「私、だから、ダメだしを聞くの、好きだったの」 (柴田)「(笑)いろいろ、まあ、いじめました(笑)。僕ははじめ、男役というものを知らずにタカラヅカに入ってきたから。もちろん女の人が男役をやっているっていうのは知っていたよ。でも実際にあんまり沢山見てなくて、男役の美学なるものをあんまりよくわからないうちにタカラヅカの演出部に入っちゃって、だから非常に悩んだし、男役をどうしたら気持ち悪くならないように、自分が見ていてい気持ち悪いときがあったから、それを気持ち悪くならないようにするにはどうするかとか、男が男を演じるのではなく女性が男役として男を演じるっていうのはどういうことかとか……タカラヅカのいちばん根本的な魅力のところだけど、それをどうやって汲み出すかとか、いろいろ考えようとしていた。」 (峰)「でも先生、歩き方がきれいでしたよね」 (柴田)「そうですかね……重心の移し方が女の子は後ろに残すから気持ち悪くなって、だからヘナヘナする。それを『こうやれ!』って言ってたこともあったね」 (峰)「で、お手本見せて下さるんだけど、それがものすごくカッコよかったんですよね」 (柴田)「走りだとかね」 (峰)「そうそうそう……あと、ピストルで撃たれたあとのウッとかね(笑)。先生、自分で体現してくださいましたよね、いろんな役を」 (柴田)「女役も」 (高汐)「そうそうそう!」 (峰)「気持ち悪かったねえ(笑)」 (高汐)「気持ち悪かった……(笑)」 (柴田)「(笑)女役が色気がないから、『こうせい!』って言ったら、みんな気持ち悪がってね(笑)」 (峰)「そうそう……『アルジェの男』のとき、ラブシーンでツッツ(湖条れいか)の代わりにやってくれはりましたね」 (高汐)「思い出した。あれはなごみましたね、厳しい稽古場が」 (柴田)「それと子どもね。子どもにならないから、こうしたら子どもに見えるんだ、とかいうこともやったね」 (峰)「でも目線とかも、色っぽかった……」
その目線ですが、『琥珀色の雨にぬれて』初演のとき、柴田が高汐に銀橋を歩くときの目線の動かし方を稽古している模様が、映像に残っています。デモテープのようなもので『緞帳が上がるまで』というタイトルで実際に劇場で流していたとか。上記のトークのあとその映像が挟み込まれていて、これはちょっと得した気分でした。若き日の柴田と高汐が2人並び、柴田が説明しながら演じるのを真似る高汐、なかなか見られない風景です。 その他、主役を演じる醍醐味、退団前後の心境(峰「一度死んだみたいな気がする」、高汐「身を引き裂かれるさみしさ」)、退団後の活動についてなど、飾り気のない率直な発言がつづき、聞き応えたっぷりです。くわしくはぜひ放送を見ていただきたいのですが、最後に、2人の今後の抱負をかいつまんで紹介しましょう。在団16年、退団後16年、しかし未だに職業欄に女優とは書けないという2人ですが、仕事への想いは熱いものがあるようです。峰は今、日舞の振付という立場でタカラヅカと再び関わっています。「振付はおもしろくてけっこう好き。毎回悩むけど、やってよかった。いったん死んだ男役として、自分の中に残っているものを少しでも後輩に伝えられたら、少しでも役に立てたら」、ミュージカルなどで活躍の高汐は「ゼロから、ふもとからと思ってやってきた。16年たって、これからは他にはないオリジナリティ、自分を打ち出していく時期かな」と語ります。
さて次回の番組チェックは、なにをレポートしましょうか。11月はまず紫吹淳特集。サヨナラ公演『薔薇の封印』プロダクション・ノート、初日(21日)のフィナーレから挨拶までの生中継、舞台映像も『長い春の果てに』と『With a Song in my Heart』の東京オリジナル収録、『ALL ABOUT RIKA』、『プロヴァンスの碧い空』、『ガイズ&ドールズ』と、見逃せない企画が目白押し。また演出家特集は岡田敬二で6作品が並びます。「演出家と語る」には今度は現役の寿つかさと水夏希が出演。さらに再演作の初演シリーズということで、大地真央主演『二都物語』、高汐巴主演『琥珀色の雨にぬれて』が。『二都物語』は映画も放送されていますから、花組公演も含め、比べてみるのもおもしろそう。新人公演シリーズは真飛聖初主演の『我が愛は山の彼方に』。こうしてみると11月も目移りしそうですね。では次回まで、ごきげんよう。MKでした。 |
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■カウントダウン特集バックナンバー(2001年4月17日〜2001年7月1日) |
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