![]() |
![]() |
![]() |
||||||||||||||
![]() |
![]() ![]() 「リクエスト! スター名場面」は、毎回1人のスターを取り上げ、視聴者からのリクエストで選んだ思い出のシーンを放送するというもの。スター自身がメールや葉書を読みながら、コメントつきで進行します。7月の第1回が紫吹淳、8月の第2回が轟悠。そして来月9月は、お披露目公演「王家に捧ぐ歌」の東京公演が始まる星組トップスター、湖月わたるの予定。今回は紫吹、そして轟の回をチェックしましょう。 しかしこの企画、なかなかおもしろいですね。まず視聴者のリクエストを前面に出した点がユニークで、こういった双方向的な試みは今まであまりなかったのではないでしょうか。スタジオの壁には視聴者からのメールがはりめぐらされ、デスクには葉書の山。そこに座ったスターがメールや葉書を読み、思い出やエピソードをおしゃべりし、映像のきっかけを出すというDJスタイルです。
そして流される作品がさすがにファンからのリクエスト、なかなかツボにはまったセレクトで、今ではめったに見られない貴重な映像が多いのもうれしい限り。たとえば紫吹の回の「サラン・愛」の映像は、昨年の全国ツアー公演版ではなく、’96年の初演、花組バウホール公演のもの。これは紫吹のバウ初主演作品で、相手役は退団した千紘れいか。作・演出の中村一徳にとっても初作品でした。春野寿美礼が弟役で、初々しい演技を見せています。 また映像がそれぞれ最低でも2〜3分と、たっぷりしているのもうれしい点。そして構成にメリハリがあり、小刻みにカットしてバラエティを出すかと思えば、たとえば轟の回の「La Jeunesse!」では、高嶺ふぶきとの掛け合いダンスシーンがフルで見られます。 紫吹の回で映像が流れる作品は、放送順に、「大海賊」(’01年・東京)、「サラン・愛」(’94年・バウ)、ベルリン公演の「宝塚 雪・月・花」と「サンライズ・タカラヅカ」(’00年)、「ドリアン・グレイの肖像」(’96年・バウ)、「ブエノスアイレスの風」(’98年・ドラマシティ)、「プロヴァンスの碧い空」(’99年・ドラマシティ)、「長い春の果てに」(’02年・宝塚)、「スパルタカス」新人公演(新公初主役・’92年・宝塚)、「ALL ABOUT RIKA」(’00年・バウ)、「黒い瞳」(’98年・宝塚)。そしてこの番組では毎回、番外編の『と言えば……』シリーズがあるようで、紫吹は「動物」。紫吹が扮した数々の動物役をまとめられていて、これがけっこうツボです。「火の鳥」でカエルの着ぐるみで安寿ミラにキスをしたり、アデュー・大劇場「宝塚 我が心のふるさと」のウサギとか、なかなか笑えます。
この中で見て得をした気分になったのは、前述した「サラン・愛」初演のほか、「スパルタカス」の新公でしょうか。紫吹のよるとそれまで二番手の役も三番手の役もしたことがなく、突然の主役にただただびっくりしたそうで、今日のトップスター紫吹の原点とも言える舞台。頬がまだ丸い紫吹が、やはりまだ固さが目立つ月影瞳とともに、懸命につとめています。匠ひびき、姿月あさとらの顔も見られます。 紫吹のコメントぶりは、けっこう自然体で、映像を見て感じたことを構えずに話します。ベルリン公演で中心をつとめたことに関しての「はじめて山のてっぺんから見る景色」という言葉が印象的でした。当時二番手だった紫吹がはじめてトップ格をつとめたのですから、感慨ひとしおだったことでしょう。
轟の回で流れるのは、やはり放送順に、「恋人たちの神話」(バウ初主演。’92年)、「黄昏色のハーフムーン」(’90年・宝塚)、「二人だけの戦場」(’94年・バウ)、「La Jeunesse!」(’96年・宝塚)、「アナジ」(’96年・バウ)、「再会」(’99年・宝塚)、「ノバ・ボサ・ノバ」(’99年・宝塚)、「バッカスと呼ばれた男」(’99年・宝塚)、「華麗なる千拍子’99」(’99年・宝塚)、「愛 燃える」(’01年・宝塚)。番外編の『と言えば……』は「女役」で、「パラダイス・トロピカーナ」、「スポットライト・マジック」では杜けあきを囲む女たちの1人として、どちらも赤のスパニッシュのドレスで登場。「華麗なる千拍子’99」ではパイナップルの女王、「TCAスペシャル2000」ではルーズソックスのコギャル姿で登場し(ほかに真琴つばさ、愛華みれら)、これはおかしい。 この中では「恋人たちの神話」と「黄昏色のハーフムーン」がめずらしく、どちらも現在のクールで貫禄たっぷりの轟からは想像できないコミカルな役。「恋人たち〜」で、丸メガネ、ぼさぼさ髪、ゆるめたネクタイ姿で、女子社員たちにいびられる轟は爆笑ものです。「黄昏色〜」の高嶺との迷コンビもいい味出しています。「ノバ・ボサ・ノバ」では、最後の大群舞シーンが轟中心の映像でたっぷり見られ、これもうれしいですね。この作品に関しては、稽古前からスタッフの思い入れが半端でなく、それに動かされるようにみんな張り切ったとか。
轟のコメントは、生真面目な中にもそこはかとなく漂うゆったりとした雰囲気がいい感じです。「二人だけの戦場」では、主役の一路の友人役で、膨大な長台詞を覚えるのが大変だったそうで、これは轟の証言で物語が進行していく構造となっており、たしかに台詞量は中途半端じゃありませんでした。「アナジ」最後の宙づりは、一言「怖かった」。 もう一つの「舞台に懸ける」は、舞台で個性がきらりと光るさまざまな生徒が、タカラヅカと自分、公演へ懸ける想い、舞台人としての抱負を語る15分のインタビュー番組。7月の第1回が美原志帆、8月の第2回が矢吹翔というラインアップから、舞台を支える個性派、実力派といったイメージを持ったのですが、9月が入団2年目の星組・麻尋しゅん(今年1月バウの「恋天狗」で小天狗を好演。7月末「王家に捧ぐ歌」新人公演でアイーダ役に抜擢された)と聞くと、期待の新人も選択範囲に入っているようです。 今回は美原、矢吹の回から、それぞれ印象に残った言葉を紹介しましょう。いずれも長い舞台生活の中で独自の地位、存在感を築き上げた人。含蓄ある言葉になるほどと、説得力があります。
美原は、私の印象では、月組のきれいなお姉さん。紫吹と同期の18年目ですが、いつまでも美しく、主役とからむ重要な役を演じ、バウやドラマシティ公演ではヒロインもつとめることもあるという、独自の地位を築いています。その美原が苦手なのが、喜怒哀楽の激しい役だそうで、最新作「シニョール・ドン・ファン」のハリウッド大女優ローサではその点が大変でした。 「私はなぜか、怒るとか泣くとかそういう激しさを出すのがとても苦手なんです。……(ローサに関しても)強い部分をいかに引き出すかとすごく苦労して、怒っている中に哀しみやつらさを表現する、ただの怒りだけじゃない、ぶ厚さというか、そういうものを表現することが、とても難しかったです」 「(役柄に関して)私は差が激しくて、苦手なものと、苦手でないもの、自分のキャラクターに合っているものとがはっきり分かれちゃっていると思うんですね。貴族の奥さんとか、レビューの女優とかは自分でも合っていると思うけど、ローサのようなきつい激しい人とか、あと機敏な人は苦手なんですね。……なぜかいい人が多くて、悪女的とか犯人とかやってみたいですね。よさそうに見えても実は悪い人とか」 クールに自己分析する強さを秘めた人で、冷静な語り口が印象的でした。
矢吹といえば、なんといっても悪役。その矢吹が悪役について意外なことを語ります。 「悪役は自分が持っている雰囲気がきれいでないとできないんです。とにかく悪役を演じるってことは、主役がよく見えないとダメなんですよね。自分がやることによって主役が、そしてストーリーが深まっていくものだと思うんです。で本当に性格が悪い人は悪役をやると成り立たない。自分がいいって言っているのではないのよ(笑)。でなくて、本当に清らかな心を持っていないと悪役はできない……」 「まずこのストーリーの中で、自分の役がどういう役割をはたすのかっていうことを計算します。こうすると主役の人がこういうふうになって、こういうふうに成り立つっていうことを計算しないと、悪役はできないです。感じたままにとかではダメなんです……そのときの体調とかあるじゃないですか? たとえば主役の人たちが声の調子が悪かったりすると、いつもは5の力と5の力でやっていたとして、主役の人たちが3の力しか出せないとしたら、自分は2くらいにしますね。その中で悪を見せようとする」 舞台人として心がけていることは、「今となって言えること」と断りながら、「常識的な人間でありたい」。「地に足のついた生活をしていないと、舞台できどってられないと思いますね。忙しくても自分でご飯を炊くし、おみそ汁も作るし」。律儀で素朴な人と見受けました。
さていかがでしたか? 次回は、9月になると思いますが、なにをご報告できるでしょうか。大劇場雪組公演にちなんで朝海ひかるの主演作品、全国ツアー版の「再会」と「華麗なる千拍子2002」が登場しますし、雪組公演の演出家、正塚晴彦と三木章雄の作品が7作品放送されるのも楽しみ。とくに正塚の「暁のロンバルディア」、「テンダー・グリーン」、三木の「Beautiful Tomorrow!」の放送は非常にめずらしいと思います。さらに新生星組「王家に捧ぐ歌」東京公演にちなみ、プロダクション・ノートなど、多彩な番組が登場するのも楽しみですね。安寿ミラの退団後の舞台、「FEMALE vol.6」、「ハムレット」(ハムレット役!)も必見です。 それでは次回まで、ごきげんよう! MKでした。 |
![]() |
■カウントダウン特集バックナンバー(2001年4月17日〜2001年7月1日) |
|
|||
![]() |
|||
![]() |
|||
![]() |
|||
お問い合わせ: タカラヅカ・スカイ・ステージ tel.0570-000-290(日曜休10:00〜17:00) お問い合わせフォーム (c)宝塚歌劇団(c)宝塚クリエイティブアーツ/当ホームページの管理運営は、株式会社宝塚クリエイティブアーツが行っています。当ホームページに掲載している情報については、当社の許可なく、これを複製・改変することを固く禁止します。また、阪急電鉄および宝塚歌劇団の出版物ほか写真等著作物についても無断転載、複写等を禁じます。 放送番組の編集の基準|番組審議委員会|タカラヅカ・スカイ・ステージの著作権についての考え方|プライバシーポリシーについて|有料基幹放送契約約款 |
|||
![]() |
|||
![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |