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![]() ![]() 冷たい夏だなと思っていたら、9月に入ってから一転、連日30℃をこす猛暑。これは残暑なんて生やさしいものではなく、1か月遅れでやってきた「夏」ですね。8月にほとんど出番がなかった日傘とサングラスが、ここのところ大活躍しています。いくらなんでもそろそろ「秋」がやってきてほしいのですが、アップするころはどうなっているのでしょうか。 そんな暑さを吹き飛ばすように、星組の超大作「王家に捧ぐ歌」が今月9月、いよいよ東京宝塚劇場に登場しました。有名なヴェルディのスペクタル・オペラ「アイーダ」を、新たな脚本と音楽、振付によって宝塚版として甦らせた作品で、湖月わたると檀れいを中心とした新生星組が力いっぱいに挑戦。7〜8月の宝塚大劇場公演は大評判をとりました。そこで今回の番組チェックでは、この難易度の高い大作に、星組一同とスタッフがどのように挑んだかという舞台裏のドキュメント、「『王家に捧ぐ歌』プロダクション・ノート」を取りあげてみましょう。 そしてもう一つ、8月から始まったシリーズ「宝塚こだわりアラカルト〜あのシーンをもう一度〜」もチェックしましょう。第1回目は「黒燕尾(1)」。タカラヅカといえばやはり黒燕尾ですからね。9月後半からは(2)の「黒燕尾(2)」が始まり、10月の(3)は「デュエットダンス」ということで、非常に楽しみな企画です。
さて「『王家に捧ぐ歌』プロダクション・ノート」。これは、舞台を見る前にはよき予習となり、見たあとは余韻がいっそう深まるという、まさに一粒で二度おいしい番組でした。私たち観客には実感できない、舞台を作り上げる過程が克明にたどれ、ファン必見です。とにかく、興味深かった。 4月9日の制作発表の様子(挨拶、懇親会でのコメントなど)から、3月9日のポスター打ち合わせ(デザインは有名な美術家の森村泰昌。氏によると背景はバベルの塔で、CG合成)、3月10日のポスター撮り風景から始まり、舞台映像をはさみながら稽古場の様子がつづられ、7月7日の通し稽古、7月11日の通し舞台稽古、そして同日の初日の感動に至るのですが、やはり圧巻は、稽古場で日々作品ができあがっていく過程の部分でしょう。
細かくはぜひ実際の番組を見ていただきたいのですが、まずは歌稽古から。コーラスの「へい、へい〜」の件、作曲の甲斐正人の「妙にみんな揃いすぎている。もっといろんな人がいていい」という一言で歌声にバラエティが出てくる様子がおもしろかったですね。そして湖月を中心とした場面では、はじめは立ったまま歌っていたのが次第に動きがつき、木村信司の演出(実際に演じてみせます)でどんどん命が吹き込まれ、そして同じ場面の舞台映像。場面ができあがっていく過程が一目瞭然というわけです。 基本的にはこのように、稽古風景から同じ場面の舞台映像へという構成で進みますが、中でも印象的だったのは、歌唱指導の楊淑美がヒントを与えながら実際に歌うと、それに呼応して、湖月や檀、安蘭らの歌唱がたちまち変化していくところ。今まで、歌唱指導と聞いても具体的にどういうことか分からなかったのですが、ああこういうことだったのかと、目から鱗の思いでした。
次は羽山紀代美、若央りさによる、群舞を中心とした振りの稽古。振りがつくころには、歌や演技も絡み、作品がだんだん立体的に見えてきます。振付の竹邑類が、檀アムネリスに湖月ラダメスに迫るシーンを指導すると、檀がしきりに照れ、それを気づかう湖月。後ろ姿の2人がほほえましい。 次はファイティング・コーディネーターの渥美博、ファイティング助手の亀山ゆうみによる殺陣の指導。戦闘シーンが重要な役割を果たすこの作品では、重要な稽古です。2人、3人、多人数……危険性もともなうだけに、実際に動きながらのていねいな稽古が続きます。それにしてもタカラヅカならではの大群衆による戦いのシーンで、1人1人に複雑な動きを緻密につけていく渥美を見ていると、全部の振りをあらかじめ頭に入れているようで、プロはすごいなと、感心してしまいました。
そして今公演最大の話題、世界的なバレリーナ、マイヤ・プリセツカヤの登場です。凱旋場面と、フィナーレの湖月と檀のデュエットダンスを振付けているのですが、さすがに動きは優雅。生徒の印象として、「とてもすばらしい……(男役に関して)見ていてときどき、女の人であることを忘れてしまう」というコメントが印象的でした。マイヤさん、タカラヅカのファンになったのかな? 稽古場での通し稽古(稽古着のまま)の晴れ晴れとした表情、通し舞台稽古後の挨拶、そして初日フィナーレでは目に涙を浮かべた、新トップ湖月。長く困難な稽古を積んでここまで来たという、ひとまずの安心感がうかがえました。
初日終演後の羽根を背負ったままの取材で、湖月は「初日の幕が下りて、スタートしたんだなっていう実感がわいてきました。お客さまの温かい拍手に本当に感動しました。千秋楽までがんばりたいと思います。マイヤ先生には、出会わせていただけただけでとても感動なんですけど、素敵なデュエットをいただきまして、これも心を込めて1回1回踊りたいなと思います。先生には、本当に感動をありがとうございました……」と感激の面もちで語っていました。 一方、檀はまだ緊張気味の表情。「今日のこの日を迎えるまで、私の中では毎日、お稽古場で、歌も踊りも演技も、全部戦いだったんですけど、こうして幕が上がって、また明日から新たな戦いが始まるんだなって気持ちです」と語ったあと、傍にいたマイヤ・プリンセツカヤに「本当にありがとうございます」と一礼。 最後に湖月と檀のフィナーレのデュエットダンス、そしてフィナーレのパレードの映像で、締めとなりました。
そして新番組「宝塚こだわりアラカルト」。1回目の「黒燕尾(1)」を見たのですが、視聴者からのリクエストによるテーマ別名場面集といった趣で、萬あきらによるナレーションにより進行します。まずこのナレーションが短いけどほっこりして、なんとも言えない味わい。その分映像はたっぷり見られるので、ファンとしてはたまりません。「黒燕尾(1)」では、大階段を使った黒燕尾群舞が沢山登場しています。 私にとって黒燕尾の原点は、断然、大浦みずきと花組なのですが、その大浦が率いる花組「ベルサイユのばら」フェルゼン編(’90年)のフィナーレが見られ、これはうれしかったですね。画面は、大浦のせり上がりからですが、実際の舞台では、大階段の上から黒燕尾姿の男役たちが下りてくるところから始まり、その整然とした幾何学的な動きにまず息を飲んだのを覚えています。そして階段上に勢揃いした男役陣の前、大浦がクールにシャープに踊り始め、その格好のよさに、タカラヅカ初心者だった私は「これがタカラヅカ男役の魅力なのね」と、1人納得していました。大浦の両脇が、安寿ミラと真矢みきなのですから、今思うと豪華でした。大浦中心の場面としてはもう1つ、大階段ではありませんが、「ショー・アップ・ショー」(’87年・花組)の男役群舞が登場。軽快なジャズにのり、ジャケット裏を見せながら踊ると、その裏が真っ赤。シンプルかつ粋です。 大階段使用の黒燕尾群舞としてはほかに、放送順に、香寿たつき中心の星組「LUCKY STAR!」(’02年)、和央ようかと伊織直加中心の宙組「満天星大夜總会」(’03年)、天海祐希中心の月組「TAKARAZUKA・オーレ!」(’94年)、匠ひびき中心の花組「Cocktail!!」(’01年)、真琴つばさ中心の月組「ESP!!」(’01年)、真矢みき中心の花組「ザッツ・レビュー」(’97年)が並びます。
一言ずつ感想を言うと、あくまでも私見ですが、香寿の濃い大人の色気、和央のスマートさ、退団だった伊織の意気込み、天海の現代的な華、匠の息づまるような熱演(大階段から本舞台、銀橋、大鳥とのデュエット、ソロまで放映)、これも退団公演だった真琴の余裕、真矢の闘志(長髪!)でしょうか。ここに上げた人々のほかにもさまざまな人の顔ものぞけるので、その辺も放送でお楽しみ下さい。 今回放送されたのは、ほとんどがショーや1本もの作品のフィナーレ部分ですが、芝居における黒燕尾の魅力を伝える例として、宙組「カステル・ミラージュ」(’01年)の、和央と花總まりのシーンが見られます。パーティーでのいでたちなのですが、これを見ていると、日本人の黒燕尾は、やはりタカラヅカの男役に勝るものはないと実感できます。 しかし一口に黒燕尾服といっても、人により、組により、印象はさまざま。カフスの出し方だけを見てもいろいろですから、黒燕尾を着こなせたら男役として一人前という言葉が納得できました。
さて次回は、なにをチェックしましょうか。10月には、宙組「鳳凰伝」、「ザ・ショー・ストッパー」の東京公演の模様が見られますし、細やかな心理描写で芝居の魅力を味わえる演出家、柴田侑宏の作品が7本も登場。’82年月組の「あしびきの山の雫に」、’87年星組の「紫子」などめずらしい作品が並びます。水夏希の、花組時代の新人公演主演作「タンゴ・アルゼンチーノ」(’99年)、宙組でのバウ主演作「フィガロ!」(’01年)も楽しみです。次回お目にかかるときには、さわやかな秋がやってきているように、そう願いながらお別れしましょう。では、ごきげんよう。MKでした。 |
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■カウントダウン特集バックナンバー(2001年4月17日〜2001年7月1日) |
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